802委員会では「IEEE 802ネットワークを介し、時刻同期のもと、低遅延ストリーミングサービスを可能にする仕様を提供すること」を憲章に掲げ、2012年11月には、Time-Sensitive Networking Task Groupに名称を変更し、対応範囲を拡大しています(TSNの誕生)。
具体的な内容として
・IEEE 802.1BA:AVB(Audio Video Bridging)システム
・IEEE 802.1AS:時刻同期、制御アプリケーション(gPTP)
・IEEE 802.1Qat:ストリーム予約プロトコル(SRP)
・IEEE 802.1Qav:時間制御ストリームデータの転送とキューイング(FQTSS)
これらの構成から成り立ち、HARMAN、AVID、Yamaha、NEUTRIK、Meyer Soundといった音響機器メーカーから、BMWやGMといった自動車メーカーのほか、Intelをはじめとする半導体メーカーまで、幅広い企業が加盟する普及団体「AVnu Alliance」が中心となり策定されています。
AVBは、Ethernetケーブルを使って機器を接続し、音と映像を転送する事を当初の目的としており、家庭用AV機器のリンクや業務用音響&映像システムのネットワーク、カーオーディオやカーナビを統合する手段としてのほか、TSNの登場と恩恵により、自動車の制御(コネクテッドカー)、産業用IoTのインフラストラクチャーなどに関わる、あらゆる用途の活用がなされています。
データの転送はEthernetケーブルで約100mまでの延長を考慮されているほか、TCP/IPでの一般的なWi-Fiを使った転送も可能としています。このため従来よりもケーブルやスイッチングハブなどの根幹部品の圧倒的なコストダウンが可能なほか、1本のケーブルで多チャンネルを転送出来ることから、配線もシンプルとなり問題が発生するリスクも低減させることができます。
音声分野では512チャンネル(48KHzサンプルレート下の場合)のオーディオを1ネットワーク上で同時相互伝送が可能であり、また映像分野ではコーデックH.264で圧縮したフルハイビジョン映像をリアルタイム転送することが可能です。
また、多くの企業が賛同する統一規格のため、採用する各社製品との接続も前提としているほか、現有のオーディオ転送プロトコルとの互換性も考慮されているなど、将来的に最も有望な規格と言えます。
MOTUは、AVBの策定当初から、採用製品の開発を進め、プロオーディオシーンにおいて最初期よりAVBを採用した製品をリリースし、現存する製品群においても、最も豊富な導入実績と、規格に対しての高い経験値を誇ります。MOTU AVBシリーズは、アナログ、光オプティカル(TOS-LINK&ADAT)、AES3、MADIなどの多様な音声規格に対応するインターフェイスを展開し、これらの信号をAVB / TSNネットワークへの取り込み、そして低遅延かつ高品質なコンバートを可能としています。
また、MOTU AVB Switchは、長距離伝送やマルチチャンネルを扱うプロオーディオシーンでのAVB活用利点のほかにも、今後更なる需要が予測されるTSN構築の根幹となるTC(Transparent Clock)スイッチングハブとして注目されており、PTPやgPTPシーケンス内においても、低遅延、低コストとともに安定動作を提供します。
MOTU AVBは昨今、ライブサウンドをはじめとした長距離・マルチチャンネル伝送を必要とするクライアントに多く採用されているほか、ブランド定評のAD / DAや内蔵DSPのクオリティが評価され、様々な規模のレコーディングに活用されています。
プロオーディオシチュエーションの他にもVoIPを用いた会議室設備や、商業施設の音響採用、マルチチャンネルオーディオを採用したメディアアートの分野でも多くの導入実績を誇ります。容易な拡張性と、複雑なワイヤリングを用いない効率的な保守性を兼ね備え、デジタルオーディオの先駆者であるMOTU社の実績と経験による安定性・圧倒的なコストパフォーマンスはIR(総合型リゾート)に代表されるMICE施設などの音響設備運用においても目下注目を集めています。
【MOTU 24Ao / 16A / AVB Switch 導入事例】Google Play Music 3,500万曲ビルボード
MOTU 24AoとAVB Switchを用いてJeff Mills“Planets”のオーケストラを再現したマルチチャンネル・サウンドインスタレーション
MOTU AVBシリーズ各タイトルはスタンドアローンミキサー、コンバーター、オーディオインターフェイス、パッチベイ、AoIPネットワーク構築など、あらゆるオーディオフォーマットに対応し、多岐に渡り活用いただける性能を保持しています。
例えば1台で最大24chアナログ入力を可能とする24Aiに至っては、アウトボードのADコンバートやマルチチャンネル・レコーディング、サラウンド収録などの用途のほか、本体内蔵アナライザーを活用した立体音響環境(イマーシブオーディオ)のチューニングや、音場計測・研究の環境にも用いられています。
同じくアナログ出力に特化したモデルである24Aoは最大24chアナログ出力を行える仕様をもち、(カスケードのうえ)1ネットワークあたり最大256ch出力のマルチチャンネル・インスタレーションの構築も可能です。更に24Aoは、TVメーカーにて最大22.2chのサラウンド・リファレンスとしても採用されており、ポストプロダクションのシチュエーションにも活用されています。
MOTU AVBシリーズは1台のユニットからの使用のほか、2台をダイレクトにAVB接続した使用、AVB Switchを介した大規模ネットワーク構築など、パーソナルレコーディングやプロオーディオシチュエーション、そして産業分野での活用まで幅広く対応します。
当社ではMOTU AVBシリーズのお問い合わせを鋭意承っております。お問い合わせは以下のリンクに設けているフォームよりご連絡ください。