無数のイヤホンジャックそれぞれに異なる楽曲をコンピュータから出力させるためには、膨大なチャンネル数のアウトプットができるオーディオインターフェイスが必要となりますが、この「3,500万曲ビルボード」企画において、柔軟なルーティングと、豊富な入出力チャンネルを簡潔に構築できる、MOTU AVBシステムが採用されています。
本件の具体的な設計、仕様は非公開となっていますが、同様の案件を想定した場合にどのようなシステムが望ましいか、一部公開されている断片を踏まえて、紹介します。
仮に、”莫大な数量のイヤホンジャックを備え付けられたボードの設計、かつイヤホンジャックからはそれぞれ異なる楽曲を送出する”という条件で、機材選定を行うとします。
現在市場ではマルチ出力に対応した、多様な機材がリリースされていますが、MOTU AVBは複数の観点においてもメリットがあります。
1)膨大な出力数の管理が、容易に行える。
以下はMOTU AVBのエディターソフトである、AVB Discoveryの画面例です。マトリクスの上部はAVB IOの入力、左部が出力となっており、それぞれの該当項目にパッチングを施していく仕様となっています。これらの管理、設定はAVBネットワークに組み込まれたコンピュータ、もしくは同Wifiネットワーク下のiOSデバイスでも操作が可能となっており、MOTU AVBの機能にアクセスした上で、パッチングやミキサー操作、クロックの設定などを行います。AVB Discoveryはパスワードロックにも対応しており、環境に応じた設定も可能です。
本件のように複数ユニットを使用したマルチチャンネルを扱うケースにおいて、1台のユニットでは扱いきれないチャンネルを、一度AVB Stream(仮想チャンネル)に送出し、各信号を任意のAVBユニットに割り振ることで、各イヤホンジャックに異なる楽曲を送出するシステムを構築します。
MOTU Discovery Routing画面のイメージ
2)低コスト
ここで定義するコストとは、機材本体の費用のほか、設営を行う人件費、作業時間も含まれます。
MOTU AVBは、ASIO / Core Audioドライバに対応しており、高い汎用性と、複雑なシステムに対しての柔軟性を兼ね備えています。AVBユニット同士の接続にはCAT-5eもしくはCAT-6で行い、MOTU AVB Switchをハブとして、Ethernetケーブル接続をしたMOTU AVBユニット間で複数チャンネルの送受信を行います。IO間の接続を簡素化し、従来のシステムと比較した場合の、機材費用、設営時間コストを大幅に省略することが可能となっています。
先述のYoutube舞台裏ムービーを確認する限り、本件では少なくともMOTU 16Aと、24Ao、そしてAVB Switchの運用が確認されます。
この場合、16AをThunderboltでMacと接続し、AVB Switchから24Aoを2台カスケードしていると仮定すると、一つのコンピュータに対して、これら4つのMOTU機材を扱った1システムで、64chのDA出力がまかなえます。
16A
MOTU AVB接続イメージ
3)高い安定性
Google Play Music 3,500万曲ビルボードには、2015年度、2016年度ともに音声送出にMOTU AVBを採用いただいていますが、特に強固な安定動作を要求されるライブサウンドシステム、放送局、設備音響の分野でも導入実績を誇り、各現場において、安定動作し、MOTUサウンドを提供しています。
2015年に採用された Google Play Music 3,500万曲ビルボードでは、約2週間の会期、12:00 〜 21:00の間、再生が止まるなどのトラブルもなく運用されました。
2016年8月時点でのMOTU AVB最新ファームウェアにおいては、マシンとMOTU AVB SwitchをEthernetで接続し、AVB SwitchからIOへの入出力が行える機能が追加されました。
仮に本件のように入力を必要としない案件においては、AVB Switchと、アウトプット用MOTU AVBユニットの24Aoを複数台繋ぐことで、コストを抑えることも実現します。
今後も新しい機能追加、アップデートが予定されているMOTU AVBにご期待ください。
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