インタビュー , アーティスト

MOTU Digital Performer 岸利至 インタビュー

abingdon boys school、TWO TRIBES、PGPのメンバー。布袋寅康、コブクロなどのライブ/レコーディング、TMR、THE ALFEE、ゴスペラーズなどのアレンジを手掛ける、サウンド・プロデューサー/シンセサイザー・プログラマーの岸 利至氏にMOTU Digital Performerの使用方法について話しを伺いました。

 

最初にDPを選んだきっかけは?

わかりやすい理由なんですが、以前、所属した事務所にMOTU Performerがあったからです。1991年にその事務所に入り、その時皆がパフォーマーを使っていたので、自ずと使わなくてはいけない状況でした。当時、シーケンスソフトはPerformerかVisionの2拓のような感じで、坂本龍一さんもPerformerを使っていたのも理由の一つです。当時からPerformerのMIDIは使いやすく、機能も良かったので、自分にあっているなと感じました。その後、PerformerからDigital Performerにアップグレードした時も問題はありませんでした。大げさですが、仕事がら目をつぶってでも、プログラミングやライブパフォーマンスができるくらい熟知する必要があったので、今となってはDP以外は考えられません。

 

それではDP8の印象はいかがですか?

DP7を長い間使用していたので多少不安はありましたが、基本機能はDP8にも継承されていたので、すんなり移行できたのは良かったです。DP8に関しては付属のプラグインが良くなったと思います。

 

DP8のお気に入りのプラグインはありますか?

色々ありますが、先ずは「sub kick」が気に入っています。例えば単純に生ドラムを録音した場合 ぼやけた低音や芯のない音、またはアタックが足りなかったりすることが多いので、その場合このDP8付属の「sub kick」を使ってアタックやドライブを追加しています。以前はミックス時にキックが安定していない場合、909などを混ぜたりと様々な方法で補正していたのですが、「sub kick」を使う事でほとんど解消されました。

そのほか、ギター用のプラグインの「Springmabob」も良かったです。心地よいスプリング本来のニュアンスが再現できていて、シンセ音源にも使ったりします。同じくギター用のプラグインで、「Analog Chorus」も気に入っています。エフェクトの効き方が温かい感じなので、これもギター以外の音色にも使っています。

後は、定番の「MASTERWORKS EQ」です。効き方に癖が無くストレートな感じでインターフェイスもわかりやすいところが好きです。いろいろなEQのプラグインを試しましたが「MASTERWORKS EQ」の使用頻度は高いです。
トリッキーな効果が必要なときには「Pattern Gate」も使っています。このプラグインは簡単に使えて思った効果が出やすい点が気に入っています。

 

その他、DP8のお気に入りの機能などはありますか?

ツールバーがデフォルトで表示されるので使い勝手がよくなりました。作業の時間短縮になりました。常に制作では時間に追われているので。

 

DP全般で気に入っている機能はありますか?

やはり、MIDIとチャンク機能ですね。

 

MIDIに関してはどの点が気に入っていますか?

数値でしっかり入力できるところです。自分としてはMIDIノートの長さやベロシティを数値で確認することで、ごまかしの効かないサウンドメイクに繋がると考えています。あいまいな数値で作ったものと、しっかりと数値を合わせたものだと最終的な楽曲のクオリティにかかわってくると思っています。

 

チャンク機能はどのように使用されていますか?

DPのチャンク機能は自分にとって必要不可欠です。理由としては楽曲制作時に少し違うアレンジを試したい時など非常に便利だからです。例えば、特定の箇所を変更したい、別のアイデアが湧いた時等、トラックやテイクの数が多くなりすぎて、シーケンス画面、プロジェクト自体が煩雑になりすぎてわかりにくくなると思います。

そんな場合でも、チャンク機能を使えば非常に簡単ですね。例えばテイク1をチャンク1に、テイク2をチャンク2に、テイク3をチャンク3等に設定にすれば、簡単に聴き比べができますし、またはテンポの異なるバージョンが必要になった場合でも新たにチャンクを追加するだけで対応可能です。例えば同じ楽曲で120BPMのチャンク、125BPMチャンク、130BPMチャンクを作成し、簡単に切り替えて再生できます。

仕事上、クライアントから様々なリクエストが求められる事が多く、自分の場合、チャンク機能がないと困りますね。たとえばテレビCM用の楽曲であれば15秒バージョンを制作した後に、30秒、60秒バージョンを作ってくれといわれる事も多く、チャンクの中であれば各バージョンのコピーやエディットも可能なのですごく便利ですね。

30秒バージョンを作成中に、再度15秒バージョンを聴きたい等の要求をされた場合、通常だと各プロジェクトを開きなおす手間がありますが、チャンクがあれば簡単に15秒バージョン、30秒バージョンの行き来ができますから。

あとはライブパフォーマンスです。演奏する楽曲を全てチャンクにならべて、すぐに演奏できるようにしています。また自分はDPのコマンド機能″ネクストチャンク″を使って次の楽曲をすぐに演奏できるように仕込んであります。例えば、コンピュータの任意のキーにネクストチャンクをアサインし、楽曲が終了次第、そのキーを叩いて、次のチャンクを準備しています。

 

チャンクの切り替え時間はどうですか?

DPのチャンクは切り替えが早いので重いデータでもほぼ支障は無いです。複数のプラグインを使用しているトラックでも不便を感じたことはないですし、CPUの負荷もさほど気になりませんね。

 

その他、岸さんにとってライブパフォーマンスでのチャンクの利点はありますか?

例えば、全てのセットリストをシーケンス上に並べた場合、何千小節、何十トラックになり、横にも縦にも長くなってしまい、パフォーマンス中、今どの楽曲のどの箇所で、どのトラックが再生されているのかが非常にわかりにくく、演奏にも集中しにくい状況になると思っています。 自分の場合、楽曲のスタートは1.0でいてほしいし、1.0ではじまることが音楽的であると思っています。ライブの場合ミスは許されないので、できるだけ1つの楽曲を1つのシーケンス上で把握できたほう良いと思っています。その点チャンク機能が重要になります。やはりセットリストを横に並べただけだと、テープレコーダーを再生しているような感じになって、なんとなくですが、ライブ感が薄れると思っています。

 

ちなみにライブの場合、アンコールなどでセットリストを変更する場合もあると思いますがその点はどうですか?

セットリスト以外の曲もライブラリにあれば瞬時に対応可能です。先日もライブ中に、リクエストがあって、その場でチャンクを読み込んでセットリスト以外の曲を演奏しました。チャンクのロード機能を使用すれば、旧プロジェクトから読み込みが可能なので、非常に便利です。

以前ライブで使用したプロジェクトをライブラリに残しておけば、直ぐにリクエストに応えられるので、その点も重宝しています。

 

本日はありがとうございました。

 


 

岸利至(きし・としゆき)プロフィール
プロデューサー/アレンジャー/プログラマー。TMR西川貴教との「abingdon boys school」、酒井愁とのテクノとメタルの化学反応ユニット「TWO TRIBES」、a.b.s.メンバー、SUNAOとのユニット「PGP」のメンバーとして、さらにソロテクノユニット「tko」で活動中。またプロデューサーとしてViViDやD’espairsRay、アレンジャーとしてTMR、THE ALFEE、ゴスペラーズ、プログラマーとして、布袋寅泰、坂本龍一、コブクロなどの作品に参加。またTV「ガイアの夜明け」のテーマソングや映画音楽の作曲も手がける。
http://toshiyukikishi.net/

 

 

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