Q:Yuさんは2009年にメジャーデビューを果たし、その後SUPA LOVE所属の作家として活動していらっしゃいますが、そもそも、どのような経緯で音楽を始められることとなったのでしょう?
高校の音楽室に打ち込みのできるキーボードがあり、それを友人に教わってポチポチ打って遊んでいたのが切っ掛けです。とにかく楽しくて毎日やっていました。
音楽は特別習ったことはなく、楽器経験も全くなかったので、最初は右手の人差し指だけでポチポチやっていた感じです(笑)。後にも習ったことはなく全て独学で習得していきました。
Q:音楽制作をはじめたのは、どのようなきっかけからだったのですか?
当時から小室さんの打ち込み音楽が好きで、高校を卒業してから、楽曲を作ろう!と意気込み、作詞作曲編曲をするようになりました。実際に打ち込みの作業自体も凄く好きになって、ハマるととことんハマってしまう性格ということもあり、寝ないでずっと制作していました(笑)。
当時はまだパソコンを持っていなかったので、EOS(キーボード)で打ち込んで、MTRに録音していく制作をしていましたね。
Q:その後、Digital Performerを使ってみようと思われたきっかけは何だったのでしょう?
友人からDTMというものがあることを教えてもらって、その時に、実際に教わったのがDigital Performerでした。DP4のころだったので、そこから使っています。DPを使い出してからは、シンセなどの外部音源を何台か繋げて、MIDIで同期させて音源を鳴らす、というように使っていましたね。
画像はDP3のプレスリリース写真
Q:実際にDPを使ってみた感触は、どのような印象でしたか?
制作ツールとして今も凄く気に入っています。表現するなら他のものより滑らかな動作です。特に、編集を加える際に、細かいところにまで手が届く機能が盛り込まれているので、とても扱いやすいですね。あと、画面が見やすく、視認性が高いなっていう印象ですね。
Q:作曲に関する理論や音の処理方法などはいつごろから、どのように会得なさっていたのでしょう?
実はDigital Performerを使うようになってから「ミックス ダウン」という作業を知った感じだったんです。ただ、出会い運がとても良いこともあって、当時から今にかけても、色々なことを教えてもらいながら、実践して日々やってます!
Q:現在Yuさんはどのような楽曲に携われていますか?
アニメの音楽をやらせていただくことが多いです。具体的に挙げると、KING OF PRISM「ドラマチックLOVE」、となりの吸血鬼さんED曲「HAPPY!!ストレンジフレンズ」などです。
Q:多様な楽曲に携われていますが、案件ごとに心がけている制作においてのポイントを聞かせてもらえますか。
愛情と切なさですね。まず歌うアーティストやキャラをなるべく深く知りたくて、その中でも表向きではなく、心の中にひっそりあるようなポイントを探して楽曲にしたいなと思っています。
原作や脚本を熟読して世界に浸りそのままの勢いで作詞してしまうこともありますけど、僕が最も大事にしているのは、レコーディングの時のアーティストさんとの会話ですね。
アーティストなら本人の性格と、歌詞と、楽曲と合わせた時に、本当に伝えたいものや、きっと自分の口からは言えないような想いや、その人の心情などをみて、それをストレートに歌詞にします。この時点では使われるかは未定ですが(笑)。
そして再度お話をいただいた時には間違いなくハマる楽曲が作れるように、より本人を知っていく、という感じです。アニメや声優さんの場合も基本は同じで、作品を見て、そのキャラの心情や、明るいキャラなら、どこで息を抜くのだろう?とか、怖いキャラなら、優しさはどこに隠してるのだろう?とか、そんなところを常に探して見ています(笑)。
Q:大変参考になります。ではYuさんが計画されているこれからのプロジェクトや、今後のご展望についても聞かせてもらえますか?
今後はプロデュース作品を増やしていきたいなと思います。楽曲には必ず「切なさ」を感じるものにしたくて、アップテンポでも明るい曲でも、人が持つ「寂しい」部分を隠さずしっかりだして、前向きな涙が流せる多幸感のある楽曲を世の中に増やしていきたいなと思っています。
Q:ではDPに関して質問させてください。まずDPでよく使うプラグインは何ですか?
BassLineをよく使っています。あと音源以外ですとReverseはかなり高確率でどの楽曲にも使っています。アコギにかけることが多いのですが、ワンポイントに最適です。
Q:実際に、作編曲のお仕事に取り組まれる際、DPの利点はどこにあると思われますか?
MIDIとオーディオデータの編集の利便性の高さだと思います。特にオーディオです。僕は結構生音を使う事が多く、コンペの段階からドラム以外は生で作ってしまうこともあるのですが、Recから編集まで、良い意味でラフな編集にも長けていて、スピード感重視な時と、しっかりした本番編集の時と、どちらにも優れているところだと思います。
DPでのオーディオ編集を行うシーケンスエディタ。オーディオフレーズとなるリージョンに対して、様々なエンベロープ、アプローチが加えられる。
Q:ズバリ、DPの機能の中で、最も良いポイントは?
オーディオエディットですね。圧倒的に使いやすく高性能で手放せません。特に、複数で歌う楽曲が多いのですが、その際のボーカルエディットの編集機能は素晴らしいです。ここの進化にはさらにさらに期待しています。
Q:ボーカルのピッチエディットに関する機能は、どういった点が良いと思われますか?
個人的な意見ですが、よく使われている他社のピッチエディットソフトよりもDPの方が優秀だと思っています。いくつかのソフトも実際使ってみましたが、DPのピッチエディットが一番良いですね。本当はあまり教えたくないくらいです(笑)。ショートカットを設定して、操作しやすいカスタムをしているというのもありますが、素早く細かい作業ができるのが素敵です。
Q:ありがとうございます。では最後に伺いたのですが、楽曲制作は昨今、ユーザー層が拡大していっている傾向で、これからも作曲や制作を志す人たちが増えていくと思っています。そういった方に対して、Yuさんからコメント・アドバイスをいただけますか?
楽曲制作の用途もいろいろですが、まず本当に楽しいです(笑)!1つの楽曲を通して、誰かの人生の思い出のフォルダを作っているみたいです。音楽を聴けば思い出す。何年後でも、その時の風景が。
それってすごいことだなと思うし、人が幸せの風景をしっかりと思い出せるように、素敵な楽曲を沢山作っていただきたいなと思います。
アドバイスとしては、常に楽しいことを見つけて欲しいなと思います。楽しくなくなったらただの仕事になってしまうので、こなせても愛情が欠けてしまう気がします。
楽しいポイント、楽しめる環境、楽しい関係を探して、見つけて、楽しみながらやりたい音楽をやると、自然とストレスなく仕事に繋がって、音にも活きてくると思うので是非!
ご協力ありがとうございました!Yuさんの手がける今後の楽曲も楽しみにしています!
協力:有限会社SUPALOVE
http://supalove.com/