RipX DAW PROがすべてを変えた ― 失ってしまったマルチトラックを復元することができたし、昔の曲からボーカルやパートを取り出すこともできた。MIDIファイルの抽出、メロディの作成、イマーシブ・オーディオの制作にも使っているよ。最高だね

世界的に高く評価され、カルト的な人気を持つレーベル”On-U Sound”は、英国を代表するインディペンデント・レーベルであり、レゲエ/ダブ、ポストパンク、ヒップホップ、インダストリアル、ジャングル、ダブステップなど、ジャンルを越えた独創的な音楽を世に送り出してきた。
このレーベルは、「Rough Trade」「4AD」「Factory」といった伝説的なインディーレーベルと同時期の英国DIYシーンから誕生。1981年の設立以来、レーベル主宰兼プロデューサーの「Adrian Sherwood」のもとで、100枚を超えるアルバムとシングルをリリースし、「Lee “Scratch” Perry」「Tackhead」「Dub Syndicate」「African Head Charge」「New Age Steppers」「Singers & Players」「Bim Sherman」など、多くのアーティストのキャリアを築いている。
またSherwood自身も、「The Slits」や「Cabaret Voltaire」「Nine Inch Nails」「Ministry」「The Fall」「Sinead O’Connor」「Clinic」「Roots Manuva」「Coldcut」「にせんねんもんだい」「Pinch」などとの仕事で知られるプロデューサーでもあり、リミックス作品には、「Depeche Mode」「Afrika Bambaataa」「Blur」「Primal Scream」「Air」「Peaking Lights」などがあり、「Andrew Weatherall」「Carl Craig」「Machinedrum」といった音楽家たちからも多大なリスペクトを受けている。
そして彼は、最新のAI音声分離DAWソフトウェア『RipX DAW PRO』の熱心なユーザーの一人でもある。
幼少期と音楽への出会い
「俺はハイ・ウィコムの学校に通っていた。友人たちはポップスやタムラ・モータウンが好きなイギリス人もいれば、インド人、パキスタン人、西インド諸島系の仲間もいて、彼らとその姉妹たちがジャマイカやカリブの音楽を教えてくれたんだ。
少しずつジャマイカ音楽に夢中になっていって、最初はポップスやスカ、レゲエのレコードをかける若いDJになった。」
「スピーカーから“飛び出してくる”ような音のレコードが好きだった。たとえばLee Perryの『Blackboard Jungle』やLink Wrayの作品みたいな。バランスが完璧じゃなくて、ドラムが妙に大きかったり小さかったり、いろんな音が飛び出してくる――そんな音作りに魅了されたんだ。」
自分の道を切り開く
「俺は演奏家ではなかったけれど、ライブ音響の仕事を始めたのがきっかけで、ディストリビューションや会社設立へとつながった。Prince Far Iなどのジャマイカ人アーティストと共にライブでリバーブやディレイ、EQスイープを使って音を作り、表現の手段を得たんだ。」
「最初は『JA Distribution』(Jamaicaではなく、JoeとAdrianの略)という小さな流通会社を始め、その後レーベルを立ち上げた。Chips Richardsという人と働いていて、彼から「レコードビジネスをやるなら、ディストリビューターにとって魅力的に見せろ。できるだけ早くカタログを増やせ」と教わった。
たった1枚だけ持ち込んでも、よほどのヒットじゃなければ門前払いされる。
だからCarib Gems、Hit Run、On-U Soundといったレーベルでカタログを構築し、最終的にプロデュース業に進んだ」
「音楽的」というより「音響的」なプロデューサー
「ハッハッハ、俺は音痴なんだ笑 一応キーの中で歌えるし、曲の多くはAマイナーだけど、ミュージシャンじゃないし、そう装ったこともない。俺が好きなのは“サウンドスケープを作ること”。驚きの要素を入れつつ、混雑しないように仕上げることだね。長年の制作で音色や空間についてたくさん学んだ。何が“いらない音”かはわかっている。だから伝統的な音楽プロデューサーとは違う。自分がやりたいことをやるだけ。チューニングは得意じゃないけど、“変な音”を聞き分けられる耳はある」

印象に残るプロジェクトについて
「たいてい“直近の作品”が一番満足しているやつだね。たとえば今年亡くなった友人Mark Stewartとのアルバム『Learning To Cope With Cowardice』、そしてLee PerryとStyle Scott(共に故人)と作った『Time Boom the Devil Dead』は誇りに思っている。
ほかにもLittle Axeの『The Wolf at House Built』、Bim Shermanの『Miracle』、そして最近のAfrican Head Chargeのアルバムなど、自分の作品としてどれも大切だ」
最も誇りに思うリミックスは?
「難しい質問だな…素晴らしい人たちと仕事ができたのは幸運だし、どれも誇りに思っている。特に気に入っているのはPrimal Screamの『Echodeck』。Andrew WeatherallとBobby Gillespieが肩越しに“もっと飛ばせ!”って言ってくるようなセッションだった。最高の結果だったよ」
映画音楽と制作哲学
「映画音楽のスコアリングはもっとやりたい!録音の最初から最後までのプロセス全体が大好きなんだ。Dennis Bovellが言っていたように、“ミュージシャンの仕事が終わった後は、エンジニアの出番だ”ってね。俺もスタジオで素晴らしい人たちと音楽を作って、最後にミックスで仕上げる瞬間が一番好きだ」
サンプリングについて
「サンプリングは健全な文化だと思う。昔からずっと何かを“借りて”きた。盗むというより“コラージュ”の一部として考えていたし、実際に作品に使ったものは大抵かなり歪んだものだった。もしそれが成功したら、正当に支払えばいい。誰かの不利益になるような盗みは決してしなかった。サンプリングは素晴らしいと思う。それ自体が芸術なんだ。RipX DAW PROのようなツールでMIDI抽出ができるようになった今、クリエイティブな人間にとって新しい世界が開けている。これ以上の幸せはないよ」

AI、ステム分離、空間オーディオについて
「時代には逆らえない。テクノロジーは進化し続ける。大切なのは、それを“どう使うか”。正しい手にかかれば、本当にクリエイティブで素晴らしいものが作れる。レゲエやダブにおいては、“空間”がますます重要になっていると思う。いつか優れたソングライターたちが昨今の空間オーディオフォーマットを使って“ダブ的なメガヒット”を生み出す日も近いだろう」
お気に入りのスタジオ機材
「40年以上愛用しているAMS、Grampianのスプリング、Cinema EngineeringのEQ、Mutron Bi-Phase…。どれもヴィンテージで大好きだ。けれど今は素晴らしいプラグインが山ほどある。100~150ポンド程度の機材でも十分対応できるはずだ。Eventideのペダルも素晴らしいし、要は“どう使うか”なんだ」


RipX DAW PROの活用
Adrianと彼のチームは現在、スタジオでRipX DAW PROを使用し、On-U Soundのバックカタログを音声分離してパフォーマンス用のステム(楽曲に使われている楽器、ボーカルの音声をパートごとに分けたファイル)を作っている。ロンドン・EARTHで開催された世界初となる完全没入型の「3D Dub」ライブにも使用された。

「RipX DAW PROがすべてを変えた。失ってしまったマルチトラックを復元することができたし、昔の曲からボーカルやパートを取り出すこともできた。MIDIファイルの抽出、メロディの作成、イマーシブ・オーディオの制作にも使っているよ。最高だね」

「RipX DAW PROとイマーシブ・オーディオ、この2つは近年で最もエキサイティングな発明だと思う。ただのツールだけど、使う人の手次第で革新的な結果を生む。俺はスピーカーから音が飛び出してくるような驚きを作るのが好きで、これらのツールはまさに“ゲームチェンジャー”だ」

若い音楽家へのアドバイス
「できる限り多くのことを、できるうちにやれ。お金のことは気にするな。音楽で生計を立てられる人はほんの一握りだ。手元にあるツールを使いこなし、快適圏から引き出してくれる人とコラボしよう。良いソングライターと関わるか、自分自身がその半分でもいいからソングライターになることを目指すんだ」










