レビュー

SONIC FACTION “Dope Matrix : Mod Squad” レビュー by Ableton 認定トレーナー 齊藤義典

日本国内に数名存在するAbleton認定トレーナーの中でも特にシンセサイザープログラミングやサウンドデザインに明るい、齊藤義典氏にSONIC FACTION Dope Matrix Mod Squadをチェックいただき、その内容をレビューいただいた。前回のArchetype Ableton バンドル同様、Ableton Liveユーザーに向け、その高いポテンシャルを体感いただきたい。

 


 

どうも、Ableton認定トレーナーの齊藤義典です。
SONIC FACTIONレビュー第二弾といたしまして、Dope Matrix Mod Squad – Abletonインストゥルメントをご紹介したいと思います。このインストゥルメントはめっちゃDopeです。ハマります。やばいです。

こちらもArchetype 2.0と同様にSONIC FACTION社からリリースされているAbleton Live専用のMax for Liveデバイスです。

大雑把にどんなものかを説明しますと、Ableton Live上にPush 2でコントロール可能な「モジュラーシンセサイザー的な環境」を再現するというシステムです。

 

収録されているデバイスは

ソフトシンセ
A-110
Plan B
Cwejman
Piston Honda
Freak Mod
Lithium

オーディオエフェクト
Auto Panda
Bucket Delay
Filter Mod
Flakers
Glitchy Beat Repeat
Perculator
Pitchy Beat Repeat
Reso Pad
Saturn Redux
Shifts
Vobroder

コントロール系
Curvature
Super Slider

シーケンサー
Dope Sequencer

と、かなりのボリュームです。

 

Archetype 2.0と同様、個別のデバイスをロードして使うこともできますが、このDope MatrixはPush 2との組み合わせにおいて、その中毒性を発揮しますので、Push 2の振る舞いや表示に関して、を中心に解説していきたいと思います。

まず基本的なセットの仕方ですが、新規MIDIトラックへDope Matrix-Default.adgをロードします。そのすぐ前にDope Sequencerをロードし、画面左下ControllerのところからPush 2を選択します。これでセットは完了です。

 

 

Dope Seqencerのデバイスイメージ

ご覧いただきたいのはPush 2中央の8×8のパッド(マトリックス)の左端です。縦に4色のライトが点灯していると思います。これは先ほどロードしたインストゥルメントラックの音源部分に相当します。各チェーンのカラーと連動しているのがわかりますよね。そして一つ飛ばして右のパッドの所に注目しつつ、A-110のチェーン(一番上)にAuto Pandaをドラッグ&ドロップしてみてください。

 

Dope MatrixとPush 2を接続した状態。点灯しているパッドを押すことでチェーンされているデバイスをPushで選択、コントロールが可能に

 

するとどうでしょう、PC上のAuto Pandaと同じカラーでパッドが点灯しましたよね? 便利なことにチェーンの並び具合をPush 2が表示してくれるんです。しかもPush2上の任意のチェーンにて点灯しているパッドを叩くと、上部ディスプレイにそのデバイスの設定が表示されるので、エディット時にいちいちPCの画面上でチェーンを切り替えたり、デバイスを表示したりしなくても1タップでOKなんです!
あっちこっち目線を切り替えなくて良いので、ドップリと音にハマって作業することが可能となるわけです。
このようなPush 2との連携方法は他に見たことがなかったので、SONIC FACTIONスゲェ、と思ったのと同時に、Push 2の汎用性の高さを改めて感じさせられました。

Dope SequencerはArchetype 2.0と同様のシーケンス機能を持っております。
Push 2においては左端縦列のConvertからAutomationまでのボタンを押すことにより、パッドの表示を切り替えることができ、パッドをタップしてデータを入力することができます。

それぞれのボタンと機能の割り振りは以下の通りです。

 

– Push 2 Dope Sequencer –

Convert > Control Matrix
Double Loop > Note
Quantize > Octave
Duplicate > Velocity
New > Length
Fixed Length > Preset
Automate > Gate

 

Push 2のDouble Loopを選択した、Dope Matrixシーケンサーを表示させた状態

 

ノートの入力はPush 2上部ディスプレイでキーとスケールを選択することもできるので、破綻させずにフレーズを入力することができます。
また、Push 2右のRepeatボタンを押してみると、シーケンスがランダムに生成されます。しかも設定したキー、スケールにロックされるので音楽的な調和を保ちつつのランダムシーケンス生成となります。これはめちゃくちゃ面白いので、ぜひお試しアレ!

Gateは後続のラックに格納されている4つのチェーンへシーケンスデータを流すかどうかの門番的な役割を果たします。そのゲートの開き方もテンポシンクしていますので、4つの異なる音色をカッコよく切り替えることができますし、個別に音価設定やステップの進み方の変更もできますので、単純なものから複雑なものまで、幅広くフレーズを生み出すことができます。

音源となる部分はArchetype 2.0と同様にAbletonのSamplerを、Max for Liveでデザインした新しいGUIでコントロールする仕様になっております。見た目が変わるだけでも、不思議と操作感が向上するので、GUIってとても重要なファクターですよね。

そして音源のソースとなるのはDoepfer、Moog、Cwejman、Harvestmanの4種類もの著名なモジュラーシンセサイザーメーカーのオシレーターをサンプリングしたものとなっております。
同じような波形、例えばノコギリ波でもメーカーによって趣や感触が異なってきまして、これこそがモジュラーシンセサイザー沼にハマる一因だったりしますが、このソフトウェアでは4種類ものオシレーターが試せてしまうのです。実際に揃えることを考えると、お得感満載かと思います!

最後にオーディオエフェクト。これら全てAbleton Live純正のデバイスを複数組み合わせたものを、新しいGUIで操作するタイプのものとなりますが、かなりクオリティが高い仕上がりとなっております。
まず組み合わせ方が秀逸で、特に気に入ったものはReso Padです。ボコーダーとは一味違う、Resonatorの音程感を多分に含んだ音を、Reverbで深く拡散させてくれますので、動きを伴ったとても気持ちのよいテクスチャーサウンド、パッドサウンドを生み出してくれます。
こういった組み合わせがどうなっているのかを、チェーンを展開させてチェックしてみるのもAbleton Liveマスターへの近道です。いい勉強になりますよ!

 

 

Audio Effectデバイス:Reso Padのデバイスイメージ

気になるCPU負荷ですが、全チェーンに最大個数である6個エフェクトを入れて、マスターにも8つインサートしてみました。私のは新しいコンピューターではないですし、CPUもi7とはいえ2コアです。それでも全然余裕ありでしたので、最近のマシンであればまず問題ないかと思われますが、あくまでもご参考までに!

さてさて、かなりレビュー的にもDopeな内容となってしまいましたが、SONIC FACTIONのこれらの製品は一貫して、「既存のものに新しいインターフェースを与えて新たな可能性を導き出す」というところが重心にあると感じました。数に限りのあるマクロアサインではなく、さらに多くの物理的なアクセスポイントを増設することができるMax for Liveを上手く利用して、ユーザビリティーの向上とそれに伴う楽しさを追求し続ける、その姿勢に感服いたしました。SONIC FACTIONスゲェ。

まだ触れられていない部分もありますので、もっと詳しく知りたい方は、SONIC FACTIONのYoutubeチャンネルの動画やマニュアルをチェックしてみて下さいね!

 

 


 

Yoshinori Saito / 齊藤義典

コンポーザー、サウンドクリエイター、ライブアクト、そして講師として様々な方向から音楽の核心に迫り続ける音楽家である齊藤義典のキャリアは約15年にも及ぶ。
シンセサイザープログラミング、サウンドエンジニアリング、作曲などに精通しており、TRI-FORCE、OCOT名義でリリースしている楽曲からは、様々なジャンルのサウンドを彼自身という一つのフィルターを通過し昇華された新しい世界観を感じさせられる。

その10年にも及ぶAbleton Live使用歴の中から得た知識と経験、そしてアーティスト活動から体得したサウンドクオリティとノウハウを元に現在、日本唯一のダンスミュージック専門スクールである「Eclipse Digital Music School」のAbleton Liveコースの講師を務めている。また2015年より自身の電子音楽教室「TACMI.ST」を開講。

Ableton Liveの初歩的な使い方から、中・上級者向けのトラックメイキング方法、そしてAbleton Liveならではのユニークな使い方について、EDM、Electronica、D’n’B、Trance、Trapなど様々な音楽ジャンルに対応しながらマンツーマンで授業を行っている。またインターネットを経由した遠隔授業も行っており、日本各地へと彼自身の創造哲学を発信し続けている。

http://tacmi.st/

 

 

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